公立病院8割超が赤字 “医療崩壊” 防ぐには
【けさ知っておきたいNEWS】
テレビ朝日グッド!モーニング「けさ知っておきたいNEWS」のコーナーで解説されたNEWS内容をご紹介しています。
この解説のあと「けさ知っておきたいNEWS検定」が出題されます。
全国の公立病院で経営悪化が深刻になっています。総務省が公表した昨年度の決算状況によると、赤字となった公立病院は8割を超え、赤字額はおよそ3400億円に上りました。
公立病院とは、主に都道府県や市区町村などの地方自治体が運営する病院です。
全国の病院のうち公立病院は約1割ですが、地域医療を支える重要な役割を担っています。
一方、民間病院でも別の調査では約6割が営業赤字とされ、医療業界全体が厳しい経営環境に置かれています。
給与が払えなくなる恐れも
深刻な例が東京都の日野市立病院です。
これまで高額な医療機器の購入を控えるなど経営改善を進めてきましたが、資金不足が悪化。
先月には医師や看護師らへの給与支払いにも影響する恐れがあるとして、日野市が病院に1億円を緊急貸し付けしました。
病院の赤字が単なる決算上の問題ではなく、医療従事者の雇用や地域の診療体制そのものに影響しかねない状況になっています。
人件費や医療材料費が急上昇
赤字が拡大する大きな理由が、人件費や医療材料費などの高騰です。
病院の収入となる診察、検査、手術などの「診療報酬」は国が決める公定価格です。
物価や人件費が上がったからといって、病院側が自由に料金を値上げすることはできません。
番組で紹介された日野市立病院では、職員給与の上昇率に対して診療報酬の引き上げが十分に追いつかず、支出の増加を収入で吸収できない状況が続いていると説明されました。
公立病院は「最後の砦」
公立病院ならではの問題もあります。
全国自治体病院協議会の望月会長は、公立病院は「地域医療の最後の砦」だからこそ赤字になりやすいと指摘しています。
民間病院では採算が取れない場合、診療科を縮小したり撤退したりする選択肢があります。
しかし公立病院は、救急医療、災害医療、小児医療など、利益が出にくくても地域に不可欠な医療を維持しなければなりません。
特に人口減少が進む地方では、患者数が少なくても医師や看護師を配置し、いつでも診療できる設備を維持する必要があります。
経営の専門家が育ちにくい問題も
公立病院には、経営改善を難しくする別の事情もあります。
公立病院は公務員が多いため定期的に人事異動があるため、病院経営を担当する事務職員も数年で入れ替わることがあります。
その結果、医療経営に長期間携わる専門人材が育ちにくく、継続的な改革が難しくなるケースがあります。
医療だけでなく「病院経営」の専門性を高めることも課題となっています。
病院ごとに役割を分担する時代へ
こうした中、病院の機能を地域全体で分担する動きも始まっています。
静岡市立清水病院では、来年4月から産婦人科を婦人科へ変更し、出産については他の医療機関と連携して対応する方針です。
すべての病院が同じ医療設備や人員をそろえるのではなく、「救急はこの病院」「出産は別の病院」と役割を連携すれば、限られた医師や設備を効率的に配置できます。
きょうのNEWS解説まとめ
公立病院の赤字が深刻化している背景には、人件費や医療材料費の高騰に加え、救急や小児医療など採算が取りにくい分野を守らなければならない事情があります。
しかし、経営難を理由に公立病院がなくなれば、特に地方では必要な医療を受けられない地域が生まれる恐れがあります。
今後は、一つの病院ですべてを抱え込むのではなく、地域の複数の病院が役割を分担しながら広域で連携する仕組みが重要になります。
病院を単純に減らすのではなく、限られた人材と設備をどう配置して地域医療を守るかが問われています。
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