【後編】<ワーママに聞いてみた>仕事の対価。お金以外でママたちが仕事に求めるものは何ですか? | ママスタセレクト
前回からの続き。いまや専業主婦世帯よりも共働き世帯のほうが多い時代。勤務形態も働く理由も人それぞれで、お金のために働いている人もいれば、自己実現や社会からの評価が欲しくて働いている人もいます。
ワーキングマザー(以下、ワーママ)4人のお喋りは、働くことに関しての「社会からの評価」について議論が深まりました。
【今回のメンバーはこちら】
大野さん……結婚当初は専業主婦だったが、出産後すぐに離婚。パート勤務の時期を経て、いまは正社員で働くシングルマザー。小学校高学年の娘がいる。
加藤さん……専業主婦だったが3年前からパート勤務。幼稚園年中&小学校低学年の姉妹と夫の4人暮らし。
内田さん……地方への移住を機に、専業主婦からフリーランスへ。すでに独立した息子2人、高校生の娘1人のママ。
山城さん……専業主婦生活から一念発起してフリーのイラストレーターへ。中学生&小学校高学年のきょうだいの子育てに奮闘中。
他者からの評価って、そんなに気になる?
大野さん:社会からの評価が欲しいって意見がありましたけど、皆さんは周りからの評価って欲しいですか? 私は逆に周りからいろいろ言われると「うるせー!」って思っちゃう(笑)。
内田さん:評価というか……コミュニケーションが欲しい。
山城さん:やっぱり人と人との繋がりが欲しいですよね。
大野さん:私は自分が自身の成長を感じられるかどうかの方が大事なんです。
加藤さん:でも成長って、誰かから評価されないと分からなくないですか?
大野さん:自分で分かります。「私ってすごい!」で終了です。
山城さん:(笑)! 私、多分それができないんですよ。
加藤さん:私も割と他者から評価されたいタイプ。その評価の一番分かりやすいのがお金っていうことで。
大野さん:でも、それほど繋がりのない人に「あなた、すごいね」って言われても嬉しいですか?
加藤さん:嬉しいかも(笑)。ちょっと気持ちがフワッとするんですよ。褒められちゃったみたいな。私の何かを見て褒めてくれたんだなって思って。
評価されたいなら仕事じゃなくてもいい?
内田さん:自分がしたことが何の評価もされず、淡々と毎日が過ぎていくって悲しいですよ。例えば子育て中、オムツ替えました、ミルクあげました、そして子どもが成長しました。それでもずっと誰からも何も言われないで自分で自己評価もできない、自分の成長も何も感じられないっていうのは、つらくてつらくて仕方ないですね。
大野さん:だったら、たとえば仕事じゃなくてボランティアやPTAでもいいのでは?
山城さん:私、PTAとか、ものすごくガッツリやってます。
大野さん:私そういうの一切やらないから、本当にすごいと思っちゃいます!
山城さん:でも、それだけでいいかと言われると……うーん。
内田さん:対価がないからじゃないですか。
加藤さん:どれだけ感謝されているかって見えないから実感しづらいよね。その点、仕事はある意味「お金」がバロメーター的な。
大野さん:役職とかも分かりやすいですよね。
他者からの評価が必要な人、必要でない人
周りから評価されることで気分が上がる人もいれば、他者から評価されることを煩わしく感じる人もいます。ただ仕事においては、お金や役職などが評価として分かりやすいという点では意見が一致したようです。
お金や肩書き“だけ”では動けない女性たち
大野さん:私が管理職として関わっている人たちは、女性が圧倒的に多いんですが……。なかなかお金だけでは動かない感じもしています。
内田さん:なんとなく心当たりが……(笑)。
大野さん:男の人は、たとえば収入や役職のように、わかりやすい目標を抱く傾向があると思うんです。でも女性は、お金や肩書き”だけ”では動かないところがある。自分の存在意義とか唯一無二性とか、そういうところを気にしちゃうことが多いと感じます。そこでウジウジ悩んで、なんなら1回くらい泣いて、具合悪くなって……みたいな。
山城さん、加藤さん:耳が痛いです(笑)。
大野さん:でも仕事してお金を得るようになると、どんどん強くなっていく。あのウジウジはどこへいった……? と(笑)。そうやって乗り越えて強くなっていく感じはすごくしますね。
加藤さん:私も山城さんも、割と精神的に低空飛行に入りやすいから、仕事をしてた方が精神衛生上も良さそう。
山城さん:そう思います。「子どものためにしか生きていけない自分」みたいなのがつらくてつらくて。ご飯作るのもそんな好きじゃない。掃除も別に好きじゃない。でも旦那から「俺が仕事してやってるんだからお前は家のことをするのが当たり前だ」「なんでできないんだ」とか言われると、どんどん追い詰められちゃって。
内田さん:仕事で怒られるのと家族に追い詰められるのって、ちょっと感覚違うよね。
山城さん:全然違います! だからこそ家以外の場で自分の価値を見出したいって、すごくありましたね。
家庭以外で「自分の価値」を見出す意義
「収入を得ていない」それが理由で、家族に対して引け目を感じている専業主婦ママもいるのではないでしょうか。そういうママたちが労働の対価として収入を得たとき、ちょっと自分に自信を持てるのは想像できますね。
専業主婦もワーママも。どちらも自由に選べる社会に
大野さん:そもそも専業主婦っていう言葉がもう、しっくりこないというか。仕事として何を選んでるかだけの話じゃないですかね。専業主婦は「家のことをやる」っていう仕事。
加藤さん:「専業」とついた時点で仕事の一種みたいな感じ。専業ライター、専業イラストレーターとか職種に付く言葉だから。
山城さん:家事して子育てして、みんな忙しそうですよ。
内田さん:もし社会でも仕事として認められたら、専業主婦の自己肯定感も上がるのかも。
加藤さん:でもやむを得ず専業主婦になってしまってるとか、やむを得ず働いてるみたいな人もいっぱいいますよね。
大野さん:専業主婦になりたいって思ったときに専業主婦ができる、ワーママになりたい思ったらなれる、そのときどきの選択で、やりたいことがやれるような環境が整ってほしいですね。ママたちが自分で決めたことができるような支援がある国になってほしいです。
専業主婦とワーママどちらが幸せかでなく……
世間ではどうしても「専業主婦VSワーママ」構造で語られることが多いですが、そもそも人の生き方は自由なはず。”どちらが良い“ではなく、”どちらも良い”という社会になるといいですね。
ママたちが笑顔で暮らせたら、家族もきっと幸せ
そもそも女性は「妻として」「母として」「娘として」など “役割”に縛られがちなのかもしれません。自分で望んでその役割を全うするなら満足感もあるでしょう。そうではない場合は生きづらさや自己肯定感の低さに繋がってしまう可能性もあります。家庭以外で「自分の価値」を見出す意義。他者から評価されたいと思うのは、そういった背景があるのではないでしょうか。
国に対して「専業主婦もワーママも、ママたちが自分で決めたことができるような支援をしてほしい」という意見も出た、今回の座談会。ママが生き生きしていたら、家族も嬉しいはず。職場でも家庭でもいい「自分が輝ける場所」を見つけられるといいですね。
インタビュー、文・千永美 編集・ここのえ イラスト・マメ美